意に反して長文になってしまった。貴重な時間を無駄にしたくない方は読まないことを強くお勧めする。
■■はじめに■■
僕が子供の頃住んでいた家はキッチン以外は畳の部屋だけで、普段居間では畳の上に直接、あるいは座布団を敷いて正座して座っていた。だから当時は正座で足が痺れるなんてことはなかった。しかし、大学進学で東京に出てからは正座どころか床に座る機会などなく、たまに正座する機会があると15分も経たずに足が痺れて立てなくなってしまう。
明日は用事があって早く寝たいから、正座でもして足がしびれる前にこれを書き上げるとしよう。
■■遺失■■
さて、ここからが本題。
確か、今から約2年前(夏だった)、僕は大糸線(松本から日本海側の糸魚川までを繋ぐローカル路線)のある駅で東京に帰るための特急あずさの指定席を予約した。そして、いつもの様に大糸線で松本に向かったのだが、松本で電車を降りる瞬間に出張用の旅行カバンがないことに気づいた。指定席を予約するときに下にカバンを置いて、指定券を受け取った後そのままカバンを置き忘れてしまったのだ。その時乗ってきた大糸線が、東京方面の最終の特急あずさに間に合う最後の電車だったから、取りに戻ったらホテルにもう一泊しないといけなくなる。
「駅に連絡すれば、受払いで送ってくれるだろう」
僕はそのまま帰ることに決め、松本駅でJ○東日本お客様センター(遺失物問合せ先)に電話した。
■■絶句■■
電話口でJ○東日本お客様センターの女性にひと通り忘れ物の概要と置き忘れた場所を説明すると、その女性はこう言う。
「今、データベースを調べましたが、そのような忘れ物は届いておりません。」
「30分前にそこに置き忘れたばかりですので、多分駅員さんもまだ気づいていないんだと思うんですが。」
「では、明日にはデータベースに登録されると思いますので、明日また電話して下さい。」
「でも、貴重なものも入っていますし、このまま駅に放置されているのは嫌なので、駅に連絡してもらえませんか?」
「駅には連絡できません。お客様センターから駅への電話連絡はできないルールになっております。駅への連絡は駅事務所からしかできないことになっておりまして、その駅に連絡をとりたいのであればお近くのJ○の駅事務所で事情を説明して連絡をとってもらってください」
特急あずさの出発まであと1分。松本駅の駅事務所に行く時間はない。
「今、丁度、松本駅で特急あずさが出発するところでして、松本駅の駅事務所に行く余裕はありません。このまま新宿まで行くのですが、2時間半以上もカバンをあの駅に放置したくないんです。」
しゃべっている途中で特急あずさのドアが閉まって動き出した。僕の声は途中から特急あずさの走行音にかき消され、言いたいことを最後まで伝えるのに10分くらい要したと思う。松本を出るとすぐトンネルがあって電話が繋がらず、ますます時間がかかる。そして、とうとうそれ以上要求しても埒が明かないと判断することにした。
「こちらからは駅への連絡はできませんので、電車を降りた駅で忘れ物をした駅に連絡してもらって下さい。」
要するに、それ以上のことはいくら要求してもやってくれないのだ。
■■懸念■■
幸いにして仕事で使っているPCは忘れてきた旅行カバンではなく手に持っているビジネスバッグに入っている。旅行カバンに入っているのは主に衣類だが、デジカメや特急あずさの回数券や・・・それから財布が入っている。あのまま3時間以上も駅の券売機の前に置きっぱなしなのは嫌だ。とは言え、デジカメや回数券や財布など金目のモノが入っているが、周囲の目もあるし駅の券売機の前に置きっぱなしのカバンを誰かが持ち去るなんて状況的に難しいだろう。見つからなかったら・・・・なんてことは、万が一そうなってから考えても遅くない。
問題は財布だ。盗まれることは考えないとしても、持っているチケットは東京都内までであって、川崎の自宅の最寄り駅までは行けない。ということは、自宅でタクシー代を用意してもらって、都内のもっとも家に近い駅からタクシーで帰るしかない。それより、カバンが届くまで財布なしで大丈夫か?カバンが家に届くのが、来週の出張の出発日に間に合わなかったらどうしよう。カバンは別なカバンを使えばいいとしても、財布に入っているものや忘れたカバンに入っているものを持たずに出張に出て大丈夫か?
ビールを飲みつつそんなことを考えながら、いつしか特急あずさの中で寝てしまい、目が覚めるともうすぐ新宿だった。
■■駅間通信■■
22時40分過ぎに新宿駅で特急あずさを降り、駅員に尋ねて何番線かのホームにある遺失物を取り扱う小さな事務所に向かった。そこで、事情を説明するとすぐに忘れ物をした駅に連絡をとってくれた。
「駅間通信で連絡を取りますから、ちょっと待ってて下さい。」
「えきかんつうしん」って言うのか。恐らくNTTの公衆回線ではなくJ○内の専用線なんだろうなどと思う間もなく、J○新宿駅の遺失物担当のオジサンは、連絡がとれてカバンが見つかったことを身振りで教えてくれた。カバンはまだ駅に届けられていず、券売機の前に置かれたままだったという。オジサンは、とても手際よく本人確認と受け払いの宅配便の手続きを進めてくれ、ニコニコして「良かったですね」と言ってくれた。
僕は心からこのオジサンに感謝しつつ、J○お客様センターのお嬢さんの対応を思い出していた。彼女が悪いわけじゃない。J○の規模を考えると仕方が無い要素もある。しかし、もう少しどうにかならないのかね・・・。
松本から帰ってきたのは金曜日の夜だ。カバンは日曜日に自宅に届いた。結局、特急あずさの中で様々なケースを想定して対応を検討したのは杞憂に終わった。だからと言って、考えたことが無駄だったわけではない。リスクマネジメントはいつだって大事だ。
それから3ヶ月くらい経った後、僕はまた同じ駅で、今度はホームに同じ旅行カバンを置き忘れて帰ってきてしまった。J○東日本の遺失物取り扱いポリシーが改善されたかどうかを確認するため、J○お客様センターに同じように電話をしたが、対応は同じだった。しかし、今度は落ち着いて新宿で同じ手続をした。
■■おわりに■■
20分でこれを書き上げるのは全く無理だった。今、僕の足は完全に痺れ切って、立ち上がろうとすることすらできない(椅子の上で正座していた)。ま、10分も待てば立ち上がれるだろう。
ちなみに、2度目に旅行カバンを忘れた時はさすがに反省し、その後は毎週金曜日の朝、松本のホテルのチェックアウト時に旅行カバンを宅配便で自宅に送ることにした。安価に回避できるリスクは回避した方がいい。なお、今はホテル暮らしではなくマンスリーアパートを借りているので、旅行カバンは持ち歩いていない。
◇◇参考◇◇
1.J○東日本お問い合せセンターおよび「お忘れ物についてのお問い合わせ先」
http://www.jreast.co.jp/info/contact.html